冠詞
英語には不定冠詞の a と 定冠詞の the がある。 ドイツ語にもその機能によって定冠詞、不定冠詞、支持冠詞、所有冠詞、否定冠詞、疑問冠詞などがある。 でまあ、ドイツ語でも a に相当する ein と the に相当する der 以外は代名詞ということがあるようだが、それではあまりにも英文法に引っ張られすぎているように思う。ドイツ語にはドイツ語の品詞の分類があってよい。
ドイツ語の冠詞は活用によって二つに分かれる。
der, dieser, jener, solcher, welcher, jeder, aller は dieser型、もしくは定冠詞型といい、
ein, mein, dein, sein, ihr, unser, euer, Ihr, kein は mein型、もしくは不定冠詞型という。
この分類は不思議ではないか。mein をなぜ不定冠詞型というか。
mein, dein, sein, ihr, unser, euer, Ihrはいずれも所有冠詞である。であるならば、ein と kein も所有冠詞なのではないか。 ein は誰にも所有されていないが存在する何ものかではなく、何者か(たとえば es)に所有されているものなのではないか。 kein は誰にも所有されておらず存在もしないものではなく、非esとでも呼ぶべきものに所有されているという意味ではないか。
これに対して dieser型はすべて指示冠詞である。
だからドイツ語の冠詞は指示冠詞と所有冠詞に分類すればよいだけではなかろうか。
ein が es に所有されていると考えるならば、ein の複数形がないのも説明がつく。es には複数がないからだ。
Eine kleine Nachtmusik は es の所有するものなのだ。